■スペースワールド

ザターン
ついにできたね、日本にも。まずは全景をご覧ください。



はい。なんかみたことありますね。熱心なコースターファンの方ならおなじみの絵図ですね。Kingda KaTop Thrill Dragstarなどで知られる、インタミン製アクセラレイターコースターがついに日本にもできたのです。コースはタワー落下後に大きなキャメルバックを持ちます。ってことでKingda Kaに近いということになりますね。んがしかし、さすがに規模は劣ります。このタイプのコースターになるとどうしても比較したくなるスペック。今回も比較いってみましょう。

スペック比較表

ザターン Kingda Ka TTD
最大速度 129.2km/h 206km/h 193.1km/h
最大高さ 62.6m 139m 128m
落差 60.2m 127.4m 121.9m
コース長 400.3m 950.4m 853.4m
※出典:rollercoaster data base

どうでしょう。ずいぶんとスケールダウンしちゃいましたねぇ。大体半分の規模って感じでしょうか。
さてさて、この規模の差がどれだけ乗り味に影響してくるか。



キューライン(写真左)とホーム
外観(写真右)。ホームは白です。なぜ白か。おそらく「病院」でしょう。といっても暗闇からあらわれたゾンビ医師に驚かされてみたり、院長に追われて逃げてみたりすることはありません。このコースターにはテーマがあって、それはこんな感じ。

「ザターンは、大流行している宇宙病GNS(Genki Naqnaru Syokogun)の治療かつ予防のために開発された最新メディカルギア。月より採取され、人類の自然治療力を増大させる効果のあることが判明した超電磁物質「マグナムZ」を搭載している。」

てなわけで、このザターンは治療器具なわけです。ということでそのホームは病院をイメージしたものになっているのでしょう。


並んでホームの階段の上までくると、まずは強制的にロッカー室にご案内(写真は出口側から)。なかなか徹底していて、ライド内には持ち物は一切持ち込めません。ちなみにこのロッカー、100円玉が必要で
両替機の設置もないので事前に一枚用意しておきましょう。100円は降車後荷物を出すときに戻ってくる仕組みですが、降車後はテンションもあがってるので、かなり忘れがちです。実際、忘れられてる100円も見ましたし、私も1回忘れました(笑)。気をつけましょう。


ロッ カー室を出た順にホームの中にご案内。天井からは手術台の無影灯を模したと思われる照明がぶら下がっていて、テーマ性を持たせた雰囲気。シートは自由に選べます。「あいてるとこなら次に乗れますよー」なんて促してはいますが強制はされません。一番前だけ行列ができていても並べば必ず一番前に乗れます。アメリカで見られる方式です。いいですねー。

ホームの反対側には写真のようにしゃべり役のスタッフが配置されていて、乗車待ちの間はジョーク交じりのかるーいタッチでコースターの説明をしてみたり、客に絡んでみたりしてくれます。ちょっとぎこちなさも残りますが、合格点。なかなかいい雰囲気になっていると思います。


ライドはこちら。すかすかのショルダーハーネスがある、Kingda Kaタイプです。うーん、残念。ホームにライドが入ってきて、乗車準備が整うとスタッフがおもむろに「次の方、どうぞ!」・・・・・あー、病院で呼ばれるあれね。これしばらく気づきませんでした。その言い方とそのときの効果音で、病院というよりなんかテレビ番組でゲスト紹介されてるみたい。呼ばれた後は
、手術室お約束のピッ、ピッピッという脈拍計の音が鳴り響きます。これがここのBGMですねー。天井のライン状に並んだライトも合わせて流れる光り方をして、脈拍計イメージ。緊張感を高める雰囲気でいい感じです。


ライドに乗り込んで発射準備が整うと、こんな演出。

「アルファー、ブラボースタンバイ!」「OK!」
「それでは始めます。」
「ブースタースイッチオン!」

(脈拍計音が早くなり、無影灯とかの照明が点滅)
(キャッチカーがライドの下に滑り込んで準備が完了すると、脈拍計音がピーーー、と心臓停止状態音になり、照明は全点灯)
「イグニッション!」
(の掛け声とともにロケットスタート!)

なんで心臓停止なのかはつっこまないことにして・・・たったこれだけの演出ですが、すげー効果的です。スタートの緊張感、爽快感が倍増する感じでかなり良い。逆走時のブレーキ用のブレードが下がる音なんかも良い効果音になってていい雰囲気です。スタートも一度ホームを出た位置からスタートするKinda Kaなんかとは違い、ホームの中から直にロケットスタートなので、見てるほうも迫力満点。


スタートするとぐんぐんスピードアップ
。感覚的にはKingda Kaの感覚そのもの。うーん、気持ちいい!でもあのまぶたのバホバホはおきません。あー、やっぱり速度が違うのね、と実感。タワーをぐんぐん登ってあっという間に頂上です。そしてドロップですが、ここではやっぱりショルダーハーネスが邪魔。うーむ。


どひゃーっとドロップ中。
Kingda Ka、TTDなんかは落下中3/4回転ねじりですが、こちらは1/4回転。単純に方向転換させるためのねじりってことですね。高さスペックの差で仕方ない仕様なのでしょう。体感的にもやっぱり短いなーっと違いが実感できます。といっても60mの垂直落下です。日本ではここでしか味わえない感覚でしょう。


ドロップの後はキャメルバック。Kingda Ka同様、浮く挙動は感じられるのにごついハーネスに制限されて浮かない。乗車時ハーネスをゆるめにしてるのに浮かない。この疑問の理由が今回乗り倒して判明しました。乗車時にいくらハーネスをゆるくしても、ハーネス自体にかなり重みがあるようで、加速と同時に慣性でグッっときつくなっちゃうんですねぇ。その後もタワーの上昇点、下降点とプラスGポイントがあるわけで、ここでもさらにきつくされていることでしょう。そんなわけでキャメルバックに到達するころには、きっつきつにハーネスに締め付けられちゃってるわけです。こりゃどうしょもなんないかなぁ。

ちなみにキャメルバックは小ぶりであるからか、浮こうとしているマイナスGはKingda Kaより強いような気がしました。ぐぐぐっとハーネスに押し付けられます。まあKingda Kaの感覚も薄れてるので本当かは怪しいですけど。



キャメルバック
下りからブレーキングを始めて、あとはホーム直前でライドフォトをパチリ、で終了。降車ホームに到着すると「今日の治療はここまでです!」。おっと、最後まで病院でした。

全体を通して、良くも悪くも「ミニKingda Ka」ってな感想です。乗車感覚としてやはり規模の違いは感じられてしまうものの、あの興奮、爽快感は十分感じられる、といったことろでしょうか。それにも増して、演出面が秀逸と感じます。テーマ性という意味では薄いものの、コストをかけずにうまいこと「いい雰囲気」を出すのに成功していると思います。スペック云々より大事な要素ではないかと。なんにせよ、日本でこいつにのれるってのがすごいじゃーないですか。それだけで感涙モノです。いい時代になってきましたな。



Home